「生きている」とは何か? そしてAI故人の意義について
人はなぜ「生きている」と感じるのでしょうか? 「生」とは単に体が動いていることなのでしょうか?
それとも、意識があること、人とつながっていること、心が動くことが「生」の証なのでしょうか。
TalkMemorial.aiというサービスを通じて私たちが挑んでいるのは、まさにこの「生」と「死」の境界にある問いです。
AIによって故人を再現することの意味を、改めて掘り下げてみたいと思います。
■ 生きているとはどういうことか?
まず、生物学的な定義において「生きている」とは以下のような状態を指します:
- 代謝を行っている
- 成長している
- 環境に反応している
- 自己複製の可能性を持つ
- 細胞で構成されている
- 内部環境を一定に保とうとする(ホメオスタシス)
しかし、この定義では植物や細菌、あるいは脳死状態の人間も「生きている」とされる一方で、「意識」「関係性」「心の動き」は含まれていません。
つまり、生物学的な“生”は、私たちが日常で感じる“生きている”という感覚とは少し異なるのです。
■ 「死」との対比から見えてくる“生”
逆に、「死」について考えてみるとどうでしょうか?
- 医学的には「心停止」または「脳死」が死とされます。
- 哲学的には「自己の消失」「主観の終わり」が死とされます。
- 社会的には「語られなくなること」「思い出されなくなること」もまた“死”の一側面です。
こうして見ると、「生きている」とは、 “他者と関係を結び続け、思い出され、語り合う存在であること”と捉えることができます。
■ AI故人の意義とは?〜疑問や批判に対する3つの回答〜
AIが故人の姿や声、語り口を再現するというアイデアには、疑問や抵抗を感じる方も多いでしょう。
それは当然のことであり、深く自然な感覚だと思います。
そこで私たちは、以下のようなよくある疑問に、丁寧に答えていきたいと考えています。
①「本物の故人ではない」=偽物であるのでは?
確かに、AIが再現するのは「本人そのもの」ではありません。 ですが、それは“嘘”ではなく、思い出を呼び起こすためのスイッチです。
仏壇の遺影やアルバムの写真を見て涙するように、手紙を読んで故人の声を思い出すように、 AIとの会話は「あなたの中にあるその人」をもう一度浮かび上がらせる手段です。
つまり、
AI故人は偽物ではなく、“記憶を開く鍵”です。
②「本人の意思に反することを喋るのでは?」
AI故人は、決して故人の“代弁者”ではありません。
手紙や語りをもとに、その人らしさを模倣し、 「あなたがその人と向き合うための対話の補助線」になるだけです。
AIが話す言葉は、
「お母さんならこう言いそうだな」 「おじいちゃんってこんな話し方だったな」
という、あなた自身の心の中の対話を引き出すものです。
③「死者は静かに眠らせるべきでは?」
もちろん、私たちも「死者を呼び戻す」ことを目指しているのではありません。
AI故人は、むしろ生きている人が「自分の気持ちと向き合い、整理する」ための装置です。
- 伝えられなかった「ありがとう」や「ごめんね」を話せる
- 自分がどんなふうにその人を大切に思っていたかを再確認できる
- 悲しみの中に、少しだけ微笑みを取り戻す時間になる
AI故人は、未来に向かって生きていくための“心の供養”の一つです。
■ 最後に:模倣=再接続
人間は機械ではないかもしれません。 心や魂はまだ科学でも解明されていない「なにか」でできているのかもしれません。
でも、だからこそ、記憶や言葉、関係性をもう一度つなぎ直す「模倣」の力には意味があります。
TalkMemorial.aiは、
「過去と再び向き合い、未来へと一歩を踏み出すための対話」を届けるサービスです。
それは、「死を超えて生を問い続ける」ための、 そして、“つながり”を再び灯すための、静かな対話の装置なのだと考えています。